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ショップに出来ること&出来ないこと!


最近増えてきたなーと思うのが、古くなった楽器を甥っ子や孫に楽器を譲りたいから修理をしたいというご依頼です。弊社としては新品も中古品も販売をしていないので、お客さんとしてもお持ち込みしやすい環境にあります。

楽器の製造が最も多かった時期

日本では古く桶屋やたんす屋が事業替えしてギター製造を行ってきたりしたケースが多く、もう廃業してしまった工場もあるのですが、80年代後半から90年代にかけてもっともエレキギターの製造が多かったように思えます。

中古市場で多いのもこの時期のギターで、GIBSONやFENDERも例外なく多いのですが新品のギターを凌ぐほど多く世の中にあります。

特徴としては無理なくコンスタンスに製造していた安定期であったため、クオリティーが一定に保たれており使いやすい楽器が多いです。

自分の使わないギターを譲る

楽器は年数が経ってくると鳴りが良くなってというイメージを持っておられる方が多いと思いますが、それはメンテナンスをしながら使い続けた結果言えることです。流石にノーメンテで20年も弦を張りっぱなしにしているとネックは「ねじれ」「波打」などがありますし、電装系も固着やサビで一見使えるようで実は非常に使いづらい楽器を与えてしまっていることになります。

ですが、弊社でも多いのが譲るからバッチリとメンテナンスをして譲りたいという愛のあるお客さんがいらっしゃいます。弊社では新品時のコンディションに戻して出荷することを得意としていますので皆さん仕上がりに驚かれます。「こんないいギターになるなら自分で弾けばよかったな。」なんて仰って頂きますので、受け継いで貰った人も幸せかと思います。

また、ヤフオクなどで楽器を出品前にメンテナンスされる依頼も多くなってきました。次に使われる方のためにお金を出してメンテナンスするなんて、なんて愛情を持っているんだと作業する側も感動します。それに、コンディションの良い楽器が日本に沢山あるっていうのは喜ばしいことかと思いますよね。

専門店での購入とは

専門店は高いと思っている人がほとんどですが実際はどうでしょうか。高級中古楽器を購入したい場合、目利きでなければ僕はできれば名の通った専門店での購入をお勧めしています。

僕なりのお店の選び方をお伝えしたいと思います。お店に入ってまず確認したいのが整理整頓されているか、やる気のない店員がいないか・・・です。開けっ放しのダンボールが放置されていたり、やる気のない人が店頭にいるとかは店主の管理ができていない証拠です。そしてそして、その後に楽器の値付けは適当かということ。決して高い安い言うわけではなく、一定の基準で値付けをされているかということが大事かと思います。作為的に特価品を作るのは当然ですが、最近の楽器店はネットで拾ってきた死んだ金額で勝負しようという甘い考えの場合が多い気がします。あまり言いたくありませんが、駄目な店というのは査定も失敗してもちろん修理代も出ませんから逃げ切るように不具合のある楽器をそのまま売っている事が多いです。安かろう悪かろうというのはこうゆう事を言いますね。フレット一本が駄目ということはピアノで言う鍵盤6個駄目ということですから、甘く考えてはいけません。やる気のない店員と言いましたが、店員側にも言い分があります。今はネット時代なので、販売の多くはネットで売れていきます。実店舗での店頭売にあまり力を入れていないことと朝から晩までパソコン~受注~発送がメインの仕事となっている今、接客は自分の仕事ではないと思っている店員も少なからずいるでしょう。

もし店主が楽器に愛情があり、きちんとした楽器をお客さんに提供したいと思う場合は買い取ってからそれなりの手を加えているはずです。もしオリジナル状態を意識するような商品であればできるだけそれに近づけた修理やパーツ交換、メンテを行っています。買い取り前のユーザーが取ってつけたようなパーツは間違いなく交換します。フレットも減ったままなどということはありませんし、ヴィンテージギターであればパーツごとの年式も把握しています。

こういった知識がありきちんとした商品を提供しているお店だからこそのサービスがあると思いますし、楽器に対して間違えがないと言えます。また、ヴィンテージギターに関して。最近多く思えるのがネットで拾ってきただけのまた聞きの知識をひけらかしている人・・・テキストで書いてあるところと我々プロがやり取りするギター用語は読みが違うのでバレバレとなり、話をしていてもこちらが赤面してしまいます。そういったことがなく自分で本数を見て正しい知識を得ている店から購入したいものです。

プロならではのメンテ

メンテナンスするのは自分でも出来ますが、我々がメンテンナンスする場合は全てのパーツをバラすところから始まります。金属パーツは全てアルカリ液で超音波洗浄し、木部はワックス、フレットのサビも落とし、指板は洗浄後レモンオイルで仕上げています。同じようにやれば素人でも同じ仕上がりになりますが、おそらく一日仕事になってしまうと思います。

また、製造不良とまでは行かなくてもそれに近い部分の修正を行う場合も多々あります。

楽器はある意味買ってからが勝負です。弊社にご来店されるお客様の殆どは楽器に対しての愛情、こだわりを持っておりそれに最大限応えてくれるリペアを望んでおられます。もちろんメーカーの工場で再生したほうが良い場合もありますが、プレイヤビリティーやヴィンテージギターの再現など工場出荷以上のクオリティーを求めている場合弊社のようなリペアーショップが力になれるのではと自負しています。

弊社では不得意な修理が勿論あります。例えばフジゲンやマツモクで作られているギターの多くはポリエステル塗装です。肉盛りがよく乾燥も早いので量産ギターにはもってこいの塗料です。ですが小規模の工場では下地以外にポリエステル塗料を使うことはありません。ポリウレタン塗料もしくはラッカー塗料です。ポリウレタンとポリエステルは似て非なる塗料です。素人がポリ塗装というのは主にポリエステル塗料のことを指しています。

しかし、膜厚があり硬い塗料なので、ギターにとって本当に良いかと言われると個人的意見ですが良い印象はありません。何しろギターの音色が暗くなってしまうし、経年劣化で白濁することもおおいですし。なので弊社でも中塗り(ポリエステルサンディングシーラー)を使うことは有っても色やトップコートはポリエステルは使用しません。塗り直しにおいては塗料の剥離が容易ではなく作業者にとっても苦痛でしかありません。

良く難しい修理だけをやっていると、自分はえらいと勘違いしているプロが居ますが大間違いです。プロだから難しいことは出来て当たり前!色々なグレードのの修理を沢山こなしてこそ本当のプロです。珍しい内容の修理は断られるケースが有りますので、その珍しい修理だけをやってるとしたらそれを押し付けられているだけと自覚すべきなのです。

技術はそれ自体は人間がやることですから、一流をめざしている研究熱心な後発者にコピーされて当然です。一流同士であれば攻略さえすれば難しいことなど一つもありません。

当たり前の修理を数多くこなしている職人は小さなことでも発見が沢山あるでしょう。個体差や素材の違い、工法の違い等・・・そういった違いを見極めるスキルこそプロには大事だと思いますし、数をこなしている人にはかなわないのはそういった日々の積み重ねなんですね。


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