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新シーズン!リペアショップ選びについて


さて4月になりました。桜はピークを過ぎて葉桜、新社会人や新入生の季節でこちらも初々しい気持ちになります。しかし今年は花粉の酷いこと・・・。これで花粉がなかったら最高なんだけどなー。

今日は修理に出す際のリペア屋選びのコツを皆さんにお伝えしようかと思います。これは全国津々浦々、全てのギターリペアショップにおいて言えることなので、もし弊社に縁のないと思う方も参考にしてみて下さい。

手軽さの面から自宅からの距離や価格で選ぶと言う人が多いようですがどうでしょうか。私達の仕事は資格が無いので例えば全くの素人が「ハイ僕、プロリペアマンです!」って言えちゃう業界なんです。ここで注意しなくちゃいけないのが、こうやって開業したプロ一年生も、メーカーや工場を経てプロリペアマンとして20年以上やってきているベテランも、ウェブ上の情報からは同じように見えているという点なんですね。ホームページだけを見るとウェブ知識の乏しい僕らのようなオジサン世代は帰って手薄なのかもしれませんね。ではどうやって選んだら良いのでしょうか・・・。

家から近いと頼りになる?

例えば歯医者さん。歯医者さんの数はコンビニより多いと言われるぐらいですが、実際には医者に行くとそのクオリティーの差に愕然とします。例えば設備が悪く、レントゲン精度が悪いと虫歯の発見も出来ません。また僕が経験したワースト歯医者ではインレイを入れる際も一つの歯医者では歯科医が立ち会わず、おぼつかない手つきで歯科助手が入れます(!?)勿論かみ合わせが高い時は歯医者が削る(歯科医でないと体についたものは削れない)ことになるのですが、かなりこの歯医者はグレーゾーンでしたね。歯医者では上手い歯医者というのははっきり言って僕の地域には居ませんでした。作業を僕に代わってくれればという歯がゆさだけが残りました。今は良いところを探して探して車で1時間ぐらいのところにある歯医者に通っていますが、クォリティーはまずますといった状況で8割型満足してます。

話がそれましたが、弊社では幸いなことに都内や県外からも沢山のリピーターさんがいらっしゃいます。上手い下手と当事者の僕が言うことではないと思いますが、僕のところに来ると一発で解決すると思い頼ってくれるお客さんがいらっしゃいます。では距離はさておいてどうやって良いリペアーショップを見極めたら良いのかということをお教えしたいと思います。

実店舗をチェック

実店舗(工場)に行くとそこの様子がよく分かるし、大体のクオリティーを知ることが出来ます。まず・・・

1,作業台は整理整頓がされているか、道具は片付いているか

2,お客さんのギターはちゃんと管理されているか、大事にされているか

3,木工/塗装の設備はきちんと整っているか

という3点です。僕らの仕事は失敗のリスクと隣り合わせです、なので如何に失敗のリスクを減らせるかということが楽器を守り大切に修理するということに直結しています。なので、1や2に意識が低い人は失敗リスクが高いと言えます。

ギターは抱えるものであり、引く人の体の一部もしくは(持ち主の思い入れによっては)恋人や家族のような存在とも言えます。しかし、赤の他人から見ると単に木と鉄の塊でしかありません。なのでショップにおいては「自分と同じ目線」でギターが大事にされているかということがとても大事なのです。

また、3における道具(工具)が無いことにはそれ専門の修理ができないということになります。僕らは存在しない専用道具に対しては、適当に直すのではなく道具を作るところから始まります。道具が充実しているショップはスキルや修理の幅に長けています。

自動車の整備工場を例に取るとは国の認可基準では道具の配置や必要工具が揃っているかということを、認定する際の検査官がしっかりとチェックしてから認可します。そして認可する際もその責任者が資格を持っていないと認可されません。

ギターリペアショップに置き換えるとそういった覚悟や幅広い対応への心構えがしっかりとできているショップが大事といえます。古物商の免許を持っていることや、きちんと法人化しているなども意識が高い証拠となるでしょう。

開業されたばかりの初心者リペアマンでも修理が上手い人はいくらでもいると思いますが、予算などの面で十分な設備が持てない人も居ると思います。勿論人の職業というのは究極は自分が何がやりたいかではなく「自分に何が出来るのか、自分に出来ることを精一杯まっとうする」ということになります。なので道具のせいにして出来ないというのは非常に残念なことであり、出来ない分適当にやるから安くするというのは絶対にやってはいけないことなのです。個人でまあまあの状態を続けてしまうと修理の完成形を想定するのが難しくなってしまい、自分のリペアの技術を結果的に下げることとなります。

また、最近ではタバコを吸わないユーザーに取ってみては喫煙状況に置かれるかどうかというのも重要な項目かもしれませんね。灰皿片手にリペアはもう20年以上前の話ですね(笑)

リペア料金が安い、高い?

価格も非常に重要かと思いますが、安いには安い理由が、高いには高い理由が有ります。僕らが作業するときにその実作業が5分で終わっても準備に1時間かかることはざらです。それはリスクマネージメントやシュミレーションの時間で器具のセッティング、楽器の養生の時間、作業後の検査の時間です。それを全部取っ払って実作業だけやれは10分で終わらせることも出来ます。価格=工数だといえますので、やっつけ修理で高いというのはボッタクリだと思いますが、工数をしっかり踏んでいて他より高いというのは凄く重要ですし、仕上がりも全然違ってきます。弊社では安い修理=工数を踏んでいない作業ということ・・・そういう需要にはお答えしかねる場合がありますが、それは「自分の楽器であればどのようにすべきか」という基本経営方針があるからなのです。勿論同じ工数を踏むのであれば工賃的には他社より安めと存じます。

そんな中でも他社より多くの工数を踏んで、しかもお客さんに損をさせないと言う自信は弊社にはあります。メーカー出荷基準が弊社での品質基準の基本となりますが、メーカー製がそれを上回る事はありませんのでそれが私達のプライドです。

本当に大変な作業とは

私達の仕事というのは趣味が高じてという人が多いと思います。ミュージシャンもそうです。しかし実際に仕事にすると大変の連続で長く続ける事はかなり困難です。なので何十年も続けるというのは本当に骨が折れますし、かのジェームスタイラー氏も言ってましたが「悪い時期も沢山あり乗り越えてきた」という言葉に重みを感じます。リペアーショップでは老舗というのがありません。大体は社長一代で築いてきた会社で長くても数十年です。ですので偉そうなことは言えませんが、自分の一生でどれだけ社会貢献が出来るかという点も大事かと思います。僕は社会奉仕活動でボランティアをやったりすることもありますが、何気ない道でも誰かが草むしりしてたり、ゴミ拾いして守っているんだなということが分かります。技術職は幅広い意味ではそれに近いところも感じます。僕は見積もり段階では僕の完全一人作業なのですが、楽器の元々の価値とかお客さんの予算とか合わないなと言うときでも真剣に楽器と対話し、時に見積もりが通らずギブアウェイすることもありますが無駄な時間とは一切思いません。広い意味で言うとその作業は楽器業界(あなたの楽器)を守っているんだろうなと思います。

以上長くなりましたが最後までお読みいただいて有り難うございます。僕と弊社の理念を含めてお伝えしました。みなさんも是非自分にあったリペアショップを見極めて、快適なギターライフを送って下さい。


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